建設業許可新規申請について

建設業許可の新規申請は担当行政庁に提出する書類が30種類を超え、とても複雑です。

スムーズに許可を取得して、利益率の高い工事を受注し、円滑なスタートを切るために新規の建設業許可を取得する最短コースを知りましょう。

建設業許可とは?

建設業許可を取得すると、1件の請負金額が税込500万円以上(建築一式の場合は税込1,500万円以上)の工事を受注できるようになります。

本来、この金額未満の工事を請け負うのに建設業許可の有無は問われませんが、昨今のコンプライアンスの高まりにともない、建設業許可を取得していないために、建設現場に入れないといったデメリットに遭遇する場面が増えています。

建設業許可を持っていなくとも請け負うことのできる軽微な工事の一例

※コンプライアンス規程により許可証の提示を求められる場合があります。

建設工事の区分建設工事の内容(請負代金は税込)
建築一式工事の場合・工事1件が1,500万円未満
・延床面積が150㎡未満の木造住宅
建築一式工事以外の場合工事1件が500万円未満

建設業許可は以下の29業種に分かれており、業種ごとに許可を受けることが必要です。
(土木工事業、建設工事業の許可を持っていても、各専門工事の許可を持っていない場合は、税込500万円以上の専門工事を単独で請負うことはできません。)

建設業の種類(業種)

土木工事業建築工事業大工工事業左官工事業とび・土工工事業
石工事業屋根工事業電気工事業管工事業タイル・レンガ・ブロック工事業
鋼構造物工事業鉄筋工事業舗装工事業しゅんせつ工事業板金工事業
ガラス工事業塗装工事業防水工事業内装仕上工事業機械器具設置工事業
熱絶縁工事業電気通信工事業造園工事業さく井工事業建具工事業
水道施設工事業消防施設工事業清掃施設工事業解体工事業

一般建設業の許可と特定建設業の許可の違い


発注者から直接請け負った1件の工事について、下請に出す工事代金が税込4,500万円(建築工事一式の場合は税込7,000万円)未満の場合は一般建設業でもよいですが、それ以上の場合には特定建設業の許可が必要となります。

建設業許可には知事許可と大臣許可がある

建設業許可は営業所で分類され、本店所在地の地方整備局長に申請する大臣許可と、都道府県に申請する知事許可があります。

2つ以上の都道府県に営業所を置いて営業を行う場合は大臣許可、1つの都道府県のみに営業所を置く場合は知事許可です。

昨今の材料費高騰で建設業許可が必要なケースが増える

2022年前後からコロナや外国の戦争などで、建築資材が急激に高騰しています。
この傾向は今後も暫く続くのではと見られています。

建設業許可の要不要判断には高騰した材料費も含むため、数年前なら対象にならなかった軽微な工事も対象になる事態が発生しています。
各工事の金額が税込500万円を超えないか懸念する前に、建設業許可取得に動き出しましょう。

新規建設業許可が必要な場面

①ほかの業者との共同工事

自社だけではなく、ほかの建設業者と共同で仕事をする場合は、建設業許可が必要な場面が多いです。
下請として元請から仕事を貰うとき、元請は発注主に建設業許可業者のみの参画を条件としていることがあります。

早期に建設業許可を取得しておかないと、「あの下請は建設業許可持っていないんだよね」とネットワークで共有されて案件が回ってこないリスクもあります。

②公共工事

受注したい工事が公共工事の場合は、建設業許可は必須です。
公共工事は利益率も高めで企業としての信頼向上につながるため、建設業を開始した際には早めに受注して軌道に乗りたいところです。

建設業許可の新規取得に時間がかかると、そもそも公共工事の受注に必要な入札への参加資格を得られなくなってしまいます。

③金融機関からの融資

会社の事業拡大のために金融機関に融資を申し込むケースがありますが、建設業許可の許可証の提出を求められる場合が多いです。

資金繰りが悪化し始めてから建設業許可の取得を検討しても、必要書類の収集や確認に時間がかかって申請を進められず、結果仕事が続かないという悪循環に陥ることは避けたいです。

建設業許可の新規申請には約30種類の所定書類が必要!?

建設業許可申請には、様々な書類が必要です。書類の一部を紹介します。

建設業許可申請書
(様式第一号)
会社の情報を入力します。空欄やフリガナなど細かいルールがあります。
工事経歴書
(様式第二号)
直前の決算期の工事実績を記載します。
直前3年の施工金額
(様式第三号)
過去3年間の工事ごとの完成工事高の実績金額を記載します。実績が何もなくても提出します。
使用人数
(様式四号)
技術関係者、事務関係者など属性に分けて記載します。
誓約書
(様式第六号)
役員等が欠格要件に該当しないことを誓約する書類です。
常勤役員等の証明書
(様式第七号)
経営経験があることを自社または他社が証明する書類です。
許可申請者の住所
生年月日等に関する調書
役員全員のものが必要です。別紙で役員一覧表を提出する場合は整合性に注意しましょう。
株主調書
(様式第十四号)
株主名簿です。5%以上の株主を記載します。
財務諸表類
(様式十五~十七)
貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)のほか、完成工事原価計算書や株主資本等変動計算書、注記表を作成します。
いわゆる税理士が作成する一般的な計算書だと建設業法上過不足が指摘される場合もあるため、注意が必要です。
営業の沿革
(様式第二十号)
会社の沿革です。創業以後の商号変更や組織再編の関係だけではなく、営業の休止等も記載対象です。
健康保険等の加入状況
(様式第七号の三)
加入状況と事業所整理番号等を記載します。
主要取引金融機関
(様式第二十号の三)
日本政策金融公庫などの政府系と、民間銀行などの普通銀行、商工組合やそのほかの金融機関を区別します。
その他の提出書類
常勤役員等についての
確認資料
常勤性と実務経験があることを資料で証明します。
専任技術者についての
確認資料
専任性と資格または実務経験があることを資料で証明します。
営業所についての
確認資料
写真・見取図等による確認です。所在地と登記が異なる場合は賃貸契約書が必要になることもあります。
登記事項証明書法務局で取得します。
身分証明書本籍地にある役所で取得します。
納税証明書県税事務所、都税事務所、または税務署で取得します。
上記以外の資料このほかにも審査の過程で追加の資料の提出を求められる場合もあります。

新規建設業許可申請はノウハウのある行政書士へ

この表に記載したのは、書類の一部で、建設業許可の書類の数は膨大です。

ましてや、この書類は誰が書いても申請が通る定型のものではなく、それぞれ要件の確認とノウハウが必要なものです。
建設業許可を新規取得する創業初期にこのあたりのノウハウに通じた社員を採用するのはなかなか難しいです。

そこで、建設業許可に精通した行政書士事務所に依頼する選択肢をお勧めします。
弊社は、建設業の申請に特化しています。事前の要件確認、書類の収集、作成から申請まで、安心してお任せください。

建設許可は経営において、決して時間をかける部分ではありません。
効率良く、かつ正確に手続きを終えて、あたらしい建設業者として歩き出しましょう。