建設業許可は一度取得して終わりではありません。
建設業許可を維持するためには5年に1度、更新手続きをする必要があるほか、営業所の移転や役員の変更等があった場合にも手続きが必要です。

どれぐらい前から、どのような準備や手続きが必要なのかを認識し、適切に申請しましょう。

建設業許可の維持に必要な手続き一覧

種別提出する時期
事業年度終了届毎年(事業年度終了後4カ月以内)
更新5年に1度
変更届変更後14日もしくは30日以内(変更内容による)

各手続きの詳しい内容は、以下をご覧ください。

建設業許可の更新手続きについて

建設業許可の有効期間は、許可のあった日から5年目の許可日の前日までです。

当該前日が役所など行政庁の休日(日曜日など)であっても同様のため注意しましょう。

引き続き建設業を営むためには、期間の満了する日の30日前までに建設業許可の更新手続きをしなければなりません。

建設業許可更新申請の受付期間
知事許可5年間の有効期間が満了する日の2カ月または3カ月前から30日前まで
大臣許可5年間の有効期間が満了する日の3カ月前から30日前まで
※上記表の受付期間は都道府県によって異なる場合があります。

なお更新をする際は、それまでの期間に関わる変更届(決算変更届など)の提出が前提となります。
このあたりの手続きが欠けていると、建設業許可の更新手続きが迅速に進まなかったり、手続きそのものが行えなかったりというような弊害が起こります。

一方で更新手続きが進行していれば、有効期間の満了後でも許可等の処分があるまで、既に取得している建設業許可が有効になる特例が認められます。

自社の有効期限を忘れてしまったら

自社でいつまで有効な建設業許可を取得したか忘れてしまった場合は、新規(前回の)建設業許可取得の際に送られてきた許可通知書を確認しましょう。国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムから検索することもできます。

更新ではなく期限が切れての取り直しの場合、新規申請扱いとなるため期限内更新よりも諸経費がかかるため、許可期限はしっかり把握しておきましょう。

建設業許可の変更届について

建設業の許可を受けた法人又は個人事業主は、商号・資本金・役員・営業所・経営業務の管理責任者・専任技術者・支店長などに変更があった場合、変更のあった日より14日以内もしくは30日以内に変更届の提出する必要があります。

14日以内の届出が必要な項目

  • 経営業務の管理責任者の変更
  • 専任技術者の変更
  • 支店長など使用人の変更

30日以内の届出が必要な項目

  • 商号または名称の変更
  • 営業所の住所の変更(本店および支店)
  • 資本金の変更
  • 法人の役員の変更
  • 廃業した場合(一部の業種の廃業も含む)

経営業務の管理責任者・専任技術者・使用人の交代は、1日でも空白の日があると許可失効となってしまいます。
そのため、これらの交代は交代することが予定された段階で手続きの準備を進めることをお勧めします。

建設業許可の業種追加申請について

既に建設業許可を持っているが、さらに他の建設業許可を取りたい場合は「業種追加申請」という手続きをします。

業種追加申請とは、以下のような場合です。

  • 一般建設業許可を受けている者が他の一般建設業を申請する場合
  • 特定建設業許可を受けている者が他の特定建設業を申請する場合

※以下の場合は、業種追加申請ではなく、般・特新規申請となります。

  • 一般建設業許可のみを受けている者が特定建設業を申請する場合
  • 特定建設業許可のみを受けている者が一般建設業を申請する場合

建設業許可を持っていない業種の工事のみを行う場合、税込500万円以上の工事を受けることはできないので、注意しましょう。

業種追加するためには、該当の資格またはその業種について10年以上の実務経験等が必要となります。
お持ちの資格によって、取得できる業種が異なります。

弊社で業種追加をするために必要な要件を満たしているかを確認することも可能です。
お気軽にご相談ください。

事業年度終了届(決算変更届)について

建設業許可を取得した後は、毎年「事業年度終了届(決算変更届)」という、1年間の工事実績と財務状況を報告する届出が必要です。
法人・個人事業主ともに事業年度終了後4カ月以内に提出しなければなりません。

法人で建設業許可を有している会社の場合は決算月の4か月後が提出期限です。
また、個人事業主の場合は12月31日が事業年度の終了日なので、すべての個人事業主が4月末までに事業年度終了届を提出する必要があります。

事業年度終了届の財務諸表

事業年度終了届で提出する財務諸表には、貸借対照表や損益計算書の他、完成工事原価を記載します。

配置技術者への人件費等、建設業用の財務諸表を作成する必要があり、内容が通常の決算書とは異なります。

事業年度終了届の工事経歴書

工事経歴書とは、1事業年度に請け負った工事内容を記載する書類です。
請負った工事をまとめて書くのではなく、許可業種ごとに作成します。

工事実績のない場合も作成する必要があるので注意しましょう。
記載に必要な工事の件数や記入方法は県毎に異なります。

詳しいご説明→ 事業年度終了届の「工事経歴書」とは?

事業年度終了届を出し忘れたらどうなる?

事業年度終了届は毎年提出することが義務となっており、かつ、建設業許可の更新手続きをするには、事業年度終了届を提出している必要があります。

決算から4カ月が過ぎている場合でも、複数年分の事業年度終了届の提出は認められますが、県によっては始末書の提出も求められます。
複数年の工事実績等を作成するのは時間と労力を要するので、毎年しっかり提出することをお勧めします。

許可取得後は期日管理が大切

建設業許可を取得して受注金額も増え、工事現場や従業員の管理も重要となります。
そんななか、変更届や更新、事業年度終了などの手続きまで気を配るのは大変なことです。

新規建設業許可は行政書士に依頼したけれど、経費削減のため業種追加や更新は自社で対応したいという方も多くいます。
もちろんコスト面は割安ですが、ノウハウがわからず結果不慣れなことで時間や労力を費やすことになったケースも散見されます。
可能であれば目前のコスト面だけを判断基準とせず、専門家とともに対策することをお勧めします。

行政書士は書類の作成・提出だけでなく、申請手続きの期日管理を任せて申請モレのないようにする、というマネージャー役を期待することもできます。

弊社では、無料相談も行っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。